金魚と楽しく暮らすためのBlog

お祭りで掬った小さな金魚、街角で見かけた綺麗な金魚…ふとした瞬間に、その愛らしい姿が欲しくなってしまった全ての人たちへ

閑話休題―お祭り金魚のはなし

可愛い金魚

こんにちは。暑い季節ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

お祭り、そして金魚掬い真っ盛りの季節です。

夜の出店で華やかに泳ぐ小赤に惹かれ、最近おうちに新しい金魚をお迎えした人も多かろうと思います。

ちょろちょろと可愛く泳ぐ姿は、私たちに涼やかさと癒しを与えてくれますよね。

よし、頑張って育ててみようと思い、初めて水槽を入手した人もたくさんいると思います。

最初は中々慣れなかった金魚でも、一緒に暮らすうちにだんだん顔を覚えてくれて、いつしか水面をパクパクして餌をねだってくれる。

ふとした瞬間水槽に目をやれば、まん丸の瞳がこちらを見つめていた。

金魚と接していると、とても感情が豊かになり、ますます大事にしてあげたくなります。

もう、金魚のいない生活は考えられません(笑)

でも…お祭り金魚って、とかくお星になりやすいんですよね。

感情移入して飼育いた金魚が、気が付くけばなんとなく弱っていて。

一生懸命エサをあげてもなかなか元気にならなくて。

ある日の朝、淋しく水面に漂っていた。

そんな経験をした人もいるかもしれません。

やりきれなくて、涙が出てしまいます。

もっと何かできることはなかっただろうか。

あとからネットっで調べて原因がわかっても、あとのまつりで悔しくなる。

生き物がお星になってしまうのは、本当に悲しいものです。

どうしたら、金魚が健康で長く生きてくれるんだろうか。

上手な飼育の第一歩は、お祭り金魚がおうちに来るまで、どんな生活をしていたのかを知る必要があります。


お祭り金魚の通る道

お祭り屋台の水桶の中にたくさん泳いでいる、赤くて細長い小さな金魚は和金といいます。

この和金は小さいうちは小赤とも呼ばれ、観賞用、金魚すくい用から生き餌用に、最も出回る種類の金魚です。

そして、意外なことに和金は金魚の中では一番生命力のある種類なのです。

本来一番生き残りやすい種類の和金が、なぜすぐに死んでしまうのでしょうか。

その理由は、生まれてから出店に出されるまでに和金が辿る道のりにあります。

生まれてからは、同じ生簀に生きるたくさんの兄弟たちとのエサのとり合いが始まります。

いくら掃除が行き届いているからと言っても、同じ生簀にたくさん飼われていますので、体調を崩してしまう金魚もいますし、ここで耐えられずお星になってしまうものもいます。

出荷される数日前からは絶食が始まります。

金魚の養殖場からお祭りに出されるまでの間は、基本水替えはありませ。

水替えができないと、フンで水に溜まります。

それで水がが汚れないようにするため、エサを与えないようにするのです。

そして長い間袋に詰められ、トラックに揺られながら移動します。

ここで体力はかなり消耗されてしまいます。

水槽自体が振動すれば水もゆすられ、金魚はその間ずっと体力を使い続けるからです。

最後は金魚すくいの出店です。

勿論エサは与えられません。(あげる人もいるかもしれませんが…)

水がフンで汚れては金魚がお星になりやすくなりますし、汚れた水からは匂いも出ます。

フンだらけのトロ船では、いくら金魚がきれいに泳いでいても、お客さんは手を入れる気持ちになりませんよね。

お店に出されてからはお客さんに追い回され、掬い上げられるまでポイから逃げ回ります。

すぐに掬われてしまう金魚は、このような負担の多い行程により体が限界まで弱っている事が多いので、家に持ち帰ってもすぐにお星になってしまうのです。



掬ってからが、金魚救い!

お店にいる金魚はみんな泳いでおり、星になって水面にぷかぷかしている個体はいません。

それは、みんな元気でそこまでたどり着いたからではなく、そこまでたどり着くまでに生き残ることができた個体だけが泳いでいるに他ならないのです。

出店のトロ船には小赤のほかにも丸い体型をした出目金や琉金が泳いでいますが、それらは小赤よりも生命力が低いので本来は金魚すくいには向かない種類です。

少しのストレスにも体力を激しく消耗するだけに、出店に並ぶ数も多くありません。

なんだか金魚が可哀想になるお話ですが、掬い上げられた金魚には希望が見えます。

掬い上げた人の気持ち次第で、ちいさな金魚の未来はきっとひらけるに違いありません。

生き物の命を大事にする気持ちがあれば、みなさんのおうちに来た金魚たちの苦労も報われることでしょう。

相手は命あるもの。

掬ってからが金魚救いです!

愛情をもってお世話をしてあげてくださいね。

死んだ金魚をトイレに流すな―「いのちの体験」の共有 (集英社新書)

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